退職代行を使うかどうかを損益分岐の観点で考えるとき、まず基準になるのが「有給休暇1日分の経済的価値」です。結論から言うと、本サイトの診断ツールでは月収を月間の所定労働日数の目安である20日で割って日給を求め、そこに残っている有給休暇の日数をかけることで、有給消化分の経済的価値を簡易的に見積もっています。
日給換算の考え方
有給休暇を1日消化するということは、その日に働かなくても給料が支払われるということなので、経済的には「その日の給料相当額を受け取る権利」と捉えることができます。ここで問題になるのが、月給制の場合に「1日分の給料」をどう計算するかという点です。
日給の目安 = 月収 ÷ 月間所定労働日数(20日の簡易換算)
有給消化分の経済的価値の目安 = 日給の目安 × 残っている有給休暇の日数
月間所定労働日数は業種・会社によって幅がありますが、本ツールでは簡易的な目安として20日を採用しています。たとえば月収30万円の場合、日給の目安は30万円÷20日で1.5万円程度となり、有給休暇が10日残っていれば、有給消化分の経済的価値の目安はおよそ15万円程度と試算できます。
労働基準法上の「平均賃金」とは異なる簡易計算
注意したいのは、この計算はあくまで簡易的な目安であり、労働基準法上で定められている正式な「平均賃金」の算定方法とは異なるという点です。平均賃金は本来、賞与を除く直近3か月の賃金総額を暦日数で割るなど、より複雑な計算になります。本ツールが示す金額は、あくまで大まかな損益分岐の目安として捉えてください。
有給休暇の取得実態
厚生労働省の令和6年就労条件総合調査によると、令和5年の年次有給休暇の平均付与日数は16.9日、平均取得日数は11.0日、取得率は65.3%と過去最高でした。裏を返せば、平均でも5〜6日程度の有給休暇が未消化のまま残っている計算になり、退職時にまとめて消化を検討する人が一定数いることがうかがえます。
この経済的価値を回収できるかは運営元によって変わる
ここで重要なのが、この有給消化分の経済的価値を退職代行を通じて実際に回収できるかどうかは、運営元の類型によって法律上できることが異なるという点です。労働組合系は労働組合法上の団体交渉権に基づき、会社との交渉が可能であり、弁護士系も法的代理権に基づき交渉できます。一方で民間系は、弁護士法72条により、会社との交渉ができず、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能であるため、本ツールでは民間系の回収見込み額を常に0円として扱っています。
まずは自分の月収と残日数で試算してみる
月収と残っている有給休暇の日数を入力すると、弁護士系・労働組合系・民間系それぞれについて費用相場と回収見込み額を比較できる退職代行 元取れる?損益分岐チェッカーを用意しています。あくまで目安の計算ですが、退職代行の費用に見合うかどうかを考える出発点として活用してください。
本試算は一般的な目安であり、実際に有給休暇を消化できるか・未払い残業代が認められるかは、勤務先の対応や個別の事実関係により異なり、結果を保証するものではありません。退職代行サービスは運営元の種類(弁護士系・労働組合系・民間系)によって対応できる範囲が法律上異なります(民間系は退職の意思を伝える連絡代行のみで、有給消化や未払い賃金の交渉は弁護士法72条により行えません)。個別の法的判断は弁護士等の専門家にご確認ください。(本ツールのデータの調査時点: 2026-09-12)
出典: 弁護士法72条違反の可能性に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、労働組合の団体交渉権に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、令和6年就労条件総合調査 概況(厚生労働省)を横断的に参照した調査時点の目安