退職代行サービスを比較する前に、まず確認すべきは料金でも口コミでもなく「運営元がどの類型か」です。結論として、公式サイトの運営者情報に「弁護士法人」「弁護士」とあれば弁護士系、「労働組合」「ユニオン」とあれば労働組合系、それ以外の株式会社・合同会社などであれば民間系と判断でき、この違いによって会社と交渉できるかどうかが法律上変わります。
見分け方1: 運営者情報・特定商取引法に基づく表記を見る
最も確実な見分け方は、公式サイトの運営者情報や「特定商取引法に基づく表記」のページを確認することです。運営者名に「弁護士法人◯◯」「弁護士◯◯」と明記されていれば弁護士系、「◯◯ユニオン」「◯◯労働組合」と明記されていれば労働組合系です。それ以外の一般的な株式会社・合同会社名であれば、民間系である可能性が高いといえます。名称に「労働組合」と入っていても実態が伴わない、いわゆる名目上の労働組合であるケースも指摘されており、団体交渉権を行使できるかどうかは組合としての実態も関わってくる点には注意が必要です。
見分け方2: 「交渉」という言葉の使われ方を見る
サービス説明文の中で「会社と交渉します」「有給消化を交渉します」といった表現を明確に使っているかどうかも手がかりになります。弁護士系・労働組合系は、法的な代理権や団体交渉権に基づいて「交渉」という言葉を使うことができます。一方で民間系は、弁護士法72条により、会社との交渉ができず、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能です。そのため、民間系のサービス説明では「伝達」「取次」「代行連絡」といった言葉が使われ、「交渉」という言葉そのものが使われていない、あるいは限定的にしか使われていないことが多いとされています。
見分け方3: 料金帯からおおまかに推測する
料金相場も参考にはなりますが、あくまで補助的な手がかりです。比較メディアを横断すると、費用相場はおおむね民間系2.0万〜3.0万円、労働組合系2.5万〜3.5万円、弁護士系は意思伝達のみなら3万円前後から、交渉を伴う複雑なケースでは5万〜10万円程度とされています。弁護士系の費用が高くなりやすいのは対応できる範囲が広いためであり、料金だけを見て類型を断定するのは避け、必ず運営者情報と合わせて確認することが大切です。
なぜ見分ける必要があるのか
退職代行を使う目的が「とにかく会社に行かずに辞めたい」というだけであれば、3類型のどれを選んでも目的は達成できます。しかし、有給消化の調整や未払い残業代の請求といった経済的なメリットまで期待するのであれば、交渉ができない民間系を選んでしまうと、期待していた結果が得られない可能性があります。弁護士法72条により、会社との交渉ができず、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能な民間系に対して、交渉を前提とした期待を持ってしまうことが、退職代行を巡るトラブルの典型的なパターンの一つとされています。
自分のケースで診断してみる
月収・残っている有給休暇の日数・未払い残業代の心当たりを入力すると、弁護士系・労働組合系・民間系それぞれについて、費用相場と回収見込み額を比較しながら損益分岐の目安を確認できる退職代行 元取れる?損益分岐チェッカーを用意しています。運営元の種類を入力した時点で、その類型が交渉できるかどうかを踏まえた試算結果が表示されます。
まとめ
退職代行の3類型は、運営者情報の記載・「交渉」という言葉の使われ方・料金帯という3つの手がかりから見分けることができます。3類型は優劣ではなく、法的にできることが違うだけであり、自分が何を期待して退職代行を使いたいのかを先に整理した上で、対応できる類型を選ぶことが重要です。
本試算は一般的な目安であり、実際に有給休暇を消化できるか・未払い残業代が認められるかは、勤務先の対応や個別の事実関係により異なり、結果を保証するものではありません。退職代行サービスは運営元の種類(弁護士系・労働組合系・民間系)によって対応できる範囲が法律上異なります(民間系は退職の意思を伝える連絡代行のみで、有給消化や未払い賃金の交渉は弁護士法72条により行えません)。個別の法的判断は弁護士等の専門家にご確認ください。(本ツールのデータの調査時点: 2026-09-12)
出典: 弁護士法72条違反の可能性に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、労働組合の団体交渉権に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、退職代行サービスと非弁行為に関する注意喚起(東京弁護士会、2025年10月)、退職代行サービスの依頼金額に関する解説(ベンナビ労働問題)を横断的に参照した調査時点の目安