結論として、退職代行サービスを選ぶ際は、料金の安さよりも先に「運営元が弁護士系・労働組合系・民間系のどれに当たるか」を確認することが重要です。この記事では、それぞれの見分け方と、確認しておきたいポイントを整理します。
3類型のおさらい
退職代行サービスは、運営元によって弁護士系・労働組合系・民間系の3つに分かれます。弁護士系は弁護士としての法的代理権に基づき、有給消化や退職日の交渉、未払い残業代等の金銭請求まで幅広く対応できるとされています。労働組合系は、労働組合法上の団体交渉権に基づき、会社との交渉が可能です。民間系(弁護士でも労働組合でもない業者)は、弁護士法72条により、会社との交渉ができず、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能とされています。
弁護士系の見分け方
弁護士系のサービスは、運営主体が弁護士または弁護士法人であることが前提です。サービスサイトに弁護士名や所属弁護士会、弁護士登録番号などが明記されているかを確認することが一つの目安になります。これらの情報が不明確な場合、実際には弁護士が直接運営していないケースも考えられるため、契約前に確認しておくことが望ましいとされています。
労働組合系の見分け方
労働組合系のサービスは、労働組合としての実態(規約や活動実績など)を持つことが、団体交渉権に基づく交渉を行う前提になります。加藤ゼミナール法律事務所の解説によると、団体交渉権は実質的な組合活動を伴うことが想定されており、名目だけの労働組合では期待した交渉が行えない可能性があるとも指摘されています。運営元の情報開示の程度も、判断材料の一つになります。
民間系の見分け方と注意点
民間系は、弁護士でも労働組合でもない業者を指し、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能とされています。もし民間系のサービスが「有給消化を交渉します」「未払い残業代も回収します」といった表現を使っている場合、それは弁護士法72条との関係で問題になりうる表現である可能性があります。東京弁護士会も2025年10月、退職代行サービスと非弁行為に関する注意喚起を公式に公表しており、こうした表現には注意が必要だとされています。
料金相場も判断材料の一つになる
複数の比較メディアを横断すると、民間系はおおむね2万円〜3万円、労働組合系はおおむね2.5万円〜3.5万円、弁護士系は意思伝達のみなら3万円前後から、交渉を伴う複雑なケースでは5万円〜10万円程度になることが多いとされています。料金の水準は対応範囲の広さとある程度連動しているため、極端に安い料金で「何でも交渉します」とうたっているサービスには、慎重な確認が必要だと考えられます。
損益分岐チェッカーで類型ごとの見込みを比較する
退職代行 元取れる?損益分岐チェッカーでは、月収や有給残日数、未払い残業代の心当たりを入力すると、3類型それぞれの費用相場と回収見込み額を比較しながら、損益分岐の目安を確認できます。運営元の法的な立場を理解した上で、自分の状況に合った類型を検討する際の参考にしてください。まとめ
退職代行を選ぶ前に、運営元が弁護士系・労働組合系・民間系のどれに当たるのかを確認することは、期待した対応が受けられるかどうかを左右する重要なポイントです。表示されている情報や料金水準を手がかりに、法的な立場を見極めることが大切です。
本試算は一般的な目安であり、実際に有給休暇を消化できるか・未払い残業代が認められるかは、勤務先の対応や個別の事実関係により異なり、結果を保証するものではありません。退職代行サービスは運営元の種類(弁護士系・労働組合系・民間系)によって対応できる範囲が法律上異なります(民間系は退職の意思を伝える連絡代行のみで、有給消化や未払い賃金の交渉は弁護士法72条により行えません)。個別の法的判断は弁護士等の専門家にご確認ください。(本ツールのデータの調査時点: 2026-09-12)
出典: 弁護士法72条違反の可能性に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、労働組合の団体交渉権に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)、退職代行サービスと非弁行為に関する注意喚起(東京弁護士会、2025年10月)、退職代行サービスの依頼金額に関する解説(ベンナビ労働問題)