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民間系の退職代行に有給消化を「交渉」してもらうことはできない

結論として、民間系の退職代行に対して、有給休暇の消化を会社と「交渉」してもらうことはできません。これは業者の姿勢の問題ではなく、弁護士法72条という法律上の制約によるものです。この記事では、その理由と、有給消化を望む場合にどう考えればよいかを整理します。

民間系の対応範囲のおさらい

退職代行サービスの運営元は、弁護士系・労働組合系・民間系の3類型に分かれます。このうち民間系(弁護士でも労働組合でもない業者)は、弁護士法72条により、会社との交渉ができず、退職の意思を伝える連絡代行のみが可能とされています。有給休暇の残日数をすべて消化したいという希望を会社に伝えることまでは連絡代行の範囲内と考えられますが、そこから一歩進んで「消化させてほしい」と会社側と条件をすり合わせる行為は交渉に該当し、弁護士法72条に抵触するおそれがあると複数の法律専門家解説で指摘されています。

なぜ有給消化には「交渉」が必要になりやすいのか

有給休暇の消化は、労働者の権利として認められているものですが、実務上は取得時季の調整や業務の引き継ぎなど、会社側との調整が必要になる場面が少なくありません。会社が難色を示した場合、それを押し返してでも消化させてもらうには、条件を提示し、やり取りを重ねる交渉が必要になることが多いとされています。民間系はこの交渉ができないため、会社が有給消化に消極的な場合、希望どおりにいかない可能性が残ります。

弁護士系・労働組合系との違い

弁護士系は弁護士としての法的代理権に基づき、有給消化の交渉に対応できるとされています。労働組合系は、労働組合法上の団体交渉権に基づき、会社との交渉が可能です。有給消化について会社との調整が必要になりそうだと感じる場合は、民間系ではなく、これらの類型を検討する必要があるという整理になります。

有給消化の経済的価値はどう見積もるか

有給休暇1日分の経済的価値は、おおまかに「月収÷月間所定労働日数」で日給換算し、残っている有給日数をかけて見積もることができます。厚生労働省の令和6年就労条件総合調査によると、令和5年の年次有給休暇の平均付与日数は16.9日、平均取得日数は11.0日、取得率は65.3%と過去最高でした。残っている有給日数が多いほど、この経済的価値も大きくなる傾向にあります。

損益分岐の試算で民間系はどう扱われるか

退職代行 元取れる?損益分岐チェッカーでは、民間系については有給消化による回収見込み額を常に0円として扱います。これは、民間系が交渉できない以上、有給消化の経済的メリットを試算に含めることが実態にそぐわないためです。安さだけで民間系を選ぶと、有給消化まで期待していた場合に、費用に見合う結果が得られない可能性があります。

まとめ

民間系の退職代行は、弁護士法72条により会社との交渉ができないため、有給消化についても連絡代行の範囲を超えた対応は期待できません。有給消化を確実に進めたい場合は、弁護士系・労働組合系を含めて検討することが望ましいと考えられます。

本試算は一般的な目安であり、実際に有給休暇を消化できるか・未払い残業代が認められるかは、勤務先の対応や個別の事実関係により異なり、結果を保証するものではありません。退職代行サービスは運営元の種類(弁護士系・労働組合系・民間系)によって対応できる範囲が法律上異なります(民間系は退職の意思を伝える連絡代行のみで、有給消化や未払い賃金の交渉は弁護士法72条により行えません)。個別の法的判断は弁護士等の専門家にご確認ください。(本ツールのデータの調査時点: 2026-09-12)

出典: 弁護士法72条違反の可能性に関する解説(加藤ゼミナール法律事務所)退職代行サービスと非弁行為に関する注意喚起(東京弁護士会、2025年10月)令和6年就労条件総合調査 概況(厚生労働省)

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